2024年7月19日に公開された映画「化け猫あんずちゃん」。
「ロトスコープ」という手法により森山未來さんの動きをそのまま猫の動きに再現し、アニメーション化したという画期的な作品です。
「猫」と聞いてそわそわするのは猫好きの性。早速劇場に足を運んだ私が「化け猫あんずちゃん」の全貌を解説します。
『こんな化け猫なら一緒に暮らしたい…』
そんな風に思える作品です。ではどうぞ。
映画「化け猫あんずちゃん」
公開日:2024年7月19日全国公開 TOHO NEXT
スタッフ
監督:久野遥子 山下敦弘
脚本:いまおかしんじ
プロデューサー:近藤慶一
音楽:鈴木慶一
制作プロダクション:シンエイ動画×Miyu Productions
主題歌
「またたび」 佐藤千亜妃(A.S.A.B)
映画の雰囲気にマッチしたあたたかい気持ちになる曲です。映画の一部とともにどうぞお聞きください。
原作
化け猫あんずちゃん (コミックボンボン) いましろたかし
主なキャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
あんずちゃん (中村あんず) | 森山未來 | 37才の化け猫 |
かりんちゃん | 五藤希愛 | 哲也と柚季の娘 小学校5年生。借金取りに追われ東京から逃げてきた |
哲也 | 青木崇高 | かりんちゃんの父親 おしょうさんの息子 |
柚季 | 市川実和子 | かりんちゃんの母親 故人 |
おしょうさん | 鈴木慶一 | 草成寺の住職。あんずちゃんの育ての親 |
貧乏神 | 水澤紳吾 | よっちゃんに憑りついている。あんずちゃんにしか見えない |
よっちゃん | 佐藤宏 | あんずちゃんの友達 無職のおっさん |
エンマ大王 | 宇野祥平 | 地獄の統治者 |
ピーピーちゃん | 大谷育江 | 山であんずちゃんに拾われた森の妖精 ウズラのような外見 |
カエルちゃん | 吉岡睦雄 | 妖怪。穴を掘るのが趣味で、地下道内で温泉を掘り当てた |
たぬき | 澤部渡 | カエルちゃんの掘った穴に住み着いている妖怪 |
きのこのおっさん | 古澤裕介 | 巨大なきのこの妖怪 酒に強い |
おばば | 仁後亜由美 | カエルちゃんの穴に住み着いている妖怪 涙もろい |
地蔵 | 高井駿音 | 妖怪の仲間 酒が飲めない |
井上&林 | 平野絢規・戸井田竜空 | 池照小学校5年生 不良仲間 |
秀一 | 石毛宏樹 | 東京にいるかりんのボーイフレンド。中学受験を目指している |
ストーリー
南伊豆・池照町(いけてるちょう)の一角にある草成寺(そうせいじ)の和尚さんは、雷の鳴る豪雨の日、段ボールの中で鳴いている子猫をみつける。
その子猫は「あんず」と名付けられて大切に育てられた。
ただし、あんずちゃんは何年たっても死なない。それどころかいつしか人間の言葉を話し、人間のように暮らす「化け猫」になっていたのだ。
37歳になった今でも人間のように原付を乗りこなし、按摩のアルバイトに出かける日々。
そんなあんずちゃんの元へ、親子ゲンカの末ずっと行方知れずだった和尚さんの息子・哲也が11歳の娘「かりん」を連れて帰ってくる。
哲也には莫大な借金があり金の無心に来たのだが、案の定和尚さんとケンカになり、かりんちゃんを置いて去ってしまう。
かりんちゃんは表面上は良い子なのだが、実は「猫をかぶっている」だけで本当は少々ひねくれ者。さすがのあんずちゃんも手を焼いていた。
かりんちゃんは、哲也が別れ際に言った「母さんの命日に戻ってくるから」という言葉を信じて待っているが一向に帰ってこない。
かりんは、母親のお墓に手を合わせたいというささやかな望みさえ叶えるために、あんずに「母さんに会わせて」と頼み込み・・・。
見どころ
「あんず」のキャラクター
気まぐれで大雑把な性格は猫そのもの。名前と外見は猫だが中身はおっさん。食事中に平気でおならをしたり、ところかまわず立ちションするなどデリカシーがない。
機嫌が良い時は「にゃっはーー!」と叫びハイテンションになる姿は猫好きならたまらない可愛さ。
ノーヘルと無免許運転で警察につかまったり、パチンコでかりんちゃんのバイト代を使い込んでしまうこともあるが、正義感が強く地獄の鬼たちにボコボコにされながらも仲間を守る姿に思わずホロリとします。
決して上手とは言えないシュールな歌声にもご注目!
アニメーションの美しさ
この作品は、監督&キャラクターデザインを担当している久野遥子さんはもちろん、『あはれ!名作くん』や『ムジカ・ピッコリーノ』の作画で知られる中内友紀恵さん、『ペンギン・ハイウェイ』の石舘波子さんが作画監督を努めるなど、新進気鋭のアニメーターが勢ぞろい。
アニメーション制作は『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』で知られる「シンエイ動画」と、カンヌ国際映画祭やアヌシー国際映画祭で数々の賞を受賞しているフランスのスタジオ「Miyu Productions」が担当しています。
中盤から登場するあんずの仲間たちの動きや色彩、背景美術などを見れば、素人目にもクオリティの高さは抜群!
実写で撮影した映像から動きを抽出してアニメーションにする「ロトスコープ」という手法も斬新で、「あんずの動き=森山未來の動き」として注目すると映画が2倍楽しめますよ。
息をのむ冒険ファンタジー
物語中盤から繰り広げられる爽快な冒険ファンタジーは圧巻。
かりんちゃんのお母さんを探しに地獄へ行くシーンは、前半のほのぼのとした日常風景から一転、一瞬たりとも目が離せないスリリングな展開が続きます。
ところどころに「これはジブリか?」と思わせるような場面もあって心が奪われます。
とはいえこの作品が素晴らしいのは、子供向けの作品として注目されながらも、追い詰められ絶望の淵にいる人間がどうすれば前を向けるかという葛藤や、愛情不足の環境で育ったかりんちゃんの性格など、ただのファンタジーに終わらない脚本も見どころの一つです。
みんなの評価・口コミ
公式X(旧Twitter)や公式HPに寄せられていた感想をご紹介します。
「正直、大した映画じゃないと思っていたけど意外と面白かった!」という意見が多かったのには驚き!
しょーもないおっさんだけど人情味あふれる「あんず」が、私たちの心を鷲掴みしたのは言うまでもありません。
最後に
普段、あまりアニメを見ることのない私がこの映画を2度も鑑賞したのは、単に「猫が好きだから」。
自由奔放でマイペース、デリカシーはないけど楽天的でくよくよしない「あんずちゃん」は、まさに猫を絵に書いたようなキャラクターです。
3年前に虹の橋をわたった愛猫に思いを馳せ、化け猫でも何でもいいから戻ってきて、おならをしながらモリモリご飯を食べてほしい。もし君が地獄にいるなら行ってみたい…
そんな気持ちにさせてくれる映画です。
夏の日の夢物語のひととき。ぜひ劇場に足をお運びください。
上映会場はこちらから→https://theater.toho.co.jp/toho_theaterlist/bakenekoanzu.html
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